ストーカーによる性的暴行事件の被害者となり心に深い傷を負ったその少女は、信頼できる精神科医による懸命な治療を受け、ようやく完治の兆しを見せていた。しかし、少女の治療を担当したその男性医師は、自分がいつの間にか心の底から彼女に惹かれていた事に気付く。……彼女と離れたくない。そう思った医師は悩みぬいた上でこう小さく呟いたのだった。「ああ…そうか…、僕が、この手で彼女をもう一度……」

彼女――柊 瑞樹(ひいらぎ みずき)は、
その日も診察室で俯いていた。

カウンセリングを行おうと問いかけをするも、
彼女は光が宿らない虚ろな瞳のまま反応しない。

以前は学校のチアガール部に所属し、その輝かしい笑顔で
観るもの全てを魅了していた明るい彼女…。

しかし、そんな彼女の姿はもうどこにもない。

――ストーカーによる悲惨な暴行事件の被害者となってしまったから。

壊れてしまった彼女を、精神科医としての矜持にかけて
なんとしてでも快復させたい…僕はそう強く思っていた。

―――そして、数ヵ月後―――

タブー～精神科医と傷を負った少女～