こんな良い女が兄貴なんかと結婚だなんて、有り得ない。
俺があれだけ嫌いな、憎んでさえいる兄・健一の家に度々訪れていたのには
理由があった。
兄と同棲中の婚約者、美春と会うためだ。
品行方正・才色兼備、そのうえ家事も出来て気立ても良い。
そんな”良妻のお手本”の素質を持ったその女は、今まで遊んできた
どのタイプの女とも違って激しくそそられた。
――この女を貪りたい。犯し尽くしたい。
黒い衝動は日を追う毎に増していく。
そんな折、彼女の部屋で見つけたこのデジカメがこれ以上ないくらいの
きっかけとなった。
恐らく興味本意で自ら撮ったものだろう。
中には二人の幸せそうな写真に紛れて数枚、あられもない姿で
オナニーに耽る美春の写真があった。
それは普段の彼女からは想像できないほど淫らでいやらしく、
牡を誘っていた。
もう、それだけで十分過ぎた。
掴んだ。 チャンスを。 やってやる。
兄貴、いつまでも幸せだなんて思うなよ。
――あの女は、俺のものだ。
二人の結婚式まであと2週間。
さてどうやってぶち壊してやろうか、今から楽しみだ……。
